BUCK-TICK TOUR「PARADE」in 神奈川 2007年6月6日(水)横浜 BLITZ
BUCK-TICK / RUNAWAY BOYS(kyo and nackie)
 6月6日、10ヵ月ぶりのニュー・シングル「RENDEZVOUS〜ランデヴー〜」が世に解き放たれるのと同時に開幕した『TOUR PARADE』。そのスタート地点となったYOKOHAMA BLITZがいつものツアー初日といくぶん違った雰囲気に包まれていたのは、単純に“共演者アリ”という前例なき前提があるからばかりではなく、会場を埋め尽くした誰もが“通常とは違う何か”を期待しつつその幕開けを待っていたからかもしれない。

 午後7時10分。まずステージに登場したのはRUNAWAY BOYS、というかnackie率いるCOALTAR OF THE DEEPERS。整合性と混沌感を併せ持ったそのサウンドは、カテゴライズするのがアホらしくなるくらいに過激で痛快でエクストリーム。淡々と攻撃に徹する演奏ぶりもさることながら、メタリックなリフの上でデス声で咆哮したかと思えば柔らかなメロディを歌ったりもするnackieの、天使と悪魔が共存するかのようなパフォーマンスは圧巻だった。そして彼らのステージの最終場面に登場した伊達男はkyo。そこで披露されたのが「MONSTER」だったこと、そこで室温が一気に高まったことは言うまでもない。

 その後、短いインターヴァルを挟んで、BUCK-TICKのステージは神々しい光に包まれながらスタート。1曲目は、絶句モノの予想外チューン。まさに「いきなりそう攻めてくるとは!」という感じ。もちろんすでに当日の演奏内容について把握しているファンも少なくないはずだが、ここでは敢えて具体的なセットリストについては触れずにおきたい。が、間違いないのは、それがBUCK-TICK初心者でも安心して全身をゆだねられるメニューであるということ。そして同時に、中毒症状の重い愛好者ほど深い味わいを堪能できるはずの内容でもあるということ。もちろん、この日に生まれた最新シングル曲はそこに組み込まれていた。それからもうひとつ、発売が待ち遠しいニュー・アルバムに収録予定の新曲が披露されたことのみ補足しておくことにする。

 「ツアー初日ということもあって」という言い訳は本来許されないはずだが、この夜のBUCK-TICKは機材トラブルに見舞われ、そのために演奏中断を余儀なくされるという窮地に追い込まれることになった。が、そこで一度は急下降してしまった場内の熱を、演奏再開後、一気に取り戻してみせたのはサスガとしか言いようがない。蛇足を承知で付け加えれば、トラブル勃発時に櫻井が発した「参ったなー」という本音が笑いを誘うオマケもついた。そして振り返ってみれば、ライヴ自体がまさにあっという間の出来事だった。濃密さとスピード感。それがもしかすると、このツアーのキーワードということになるかもしれない。

 とにかくこうして『TOUR PARADE』は始まった。そして、この雄々しくも賑やかな行進の向かう先は、YOKOHAMA BLITZからもほど近い、横浜みなとみらい新港埠頭。9月8日、そこで僕らは、いまだかつて味わったことのない刺激を経験することになるに違いない。

text :増田勇一/photo:MASA