| 『TOUR PARADE』の第二幕は6月16日、仙台にて。この夜の刺客はJ。『PYROMANIA』、すなわち放火魔の異名をとる彼だけに、火をつけるのはお手のもの。普通の感覚で言うなら“場内をあたためること”が彼の使命ということになるはずだが、「俺が来たからには、タダじゃ帰さない」という彼自身の言葉どおり、超満員のZepp Sendaiはウォーム・アップの域を超えてヒート・アップしていた。1曲目の「REBEL tonight」からラストの「Feel Your Blaze」まで、大音量の灼熱ロックは一瞬たりとも温度を下げることなく炸裂し続け、終盤にJヴァージョンによる「ICONOCLASM」が披露された際、ステージは最大の山場を迎えた。また、彼の言動のひとつひとつから、BUCK-TICKとの信頼関係の強さを痛感させられたことも付け加えておきたい。確かに言葉は荒いかもしれない。が、まさにJなりの流儀での“スジの通し方”がそこに貫かれていた気がする。
そして彼のライヴ・パフォーマンスに火をつけられたのは、オーディエンスばかりではなく当のBUCK-TICKにとっても同じこと。ステージに櫻井敦司が登場した瞬間、彼のたたずまいに普段とは違ったテンションの高さを感じたのは僕だけではないだろう。そして冒頭の3曲を歌い終えると、彼は「Jにもう一度拍手を!」と客席に呼びかけ、こんなふうに言葉を続けた。
「Jも言ってましたけど、20年やってます。何も要りませんよ、何も……。おまえがそこにいるだけでいい!」
しかもこの発言の直後、彼は「使えるね、今の」と吐いて笑いを誘ってみせた。そんな場面を目撃できただけでも仙台のオーディエンスは貴重な体験をしたといえるはずだが、この夜の“レアさ”はそれだけでは終わらなかった。
ご存知の通り、この日は星野英彦の誕生日。本編の演奏プログラム終了後、観衆による“ハッピー・バースデイ”の大合唱に引きずり出されるようにしてステージに現れた彼は、マイクを通じて「ありがと!」と一言。その彼を追いかけるように出てきたのは、星野の似顔絵(ちなみに原画は櫻井によるもの)があしらわれた巨大なケーキを載せたワゴン。ロウソクの火は瞬時にして吹き消され、大きな拍手と歓声のなか、パーティーはアンコールへと突入した。さらにはそのアンコール終了間際、星野がステージから飛び降りるという光景も見られた。
例によって具体的な演奏曲目などについては今回も触れずにおく。が、この夜のセットリストは、いわば6月6日の横浜公演のそれとは“似て非なるもの”であり、同時にこれからの公演でのさらなる変化を予感/期待させるものでもあった。そして最後にひとつ、余談ながら付け加えておきたい。Jのバンドの一員であるスコット・ギャレットは、THE CULTやTHE MISSIONでの活動歴も持つ重量級ドラマー。ヤガミ・トールは彼について「さすが、メジャー・リーガーは違う」と述べていたが、スコットにそれを告げると「最高の賛辞だね。でも俺は俺で、彼みたいに軽快には叩けないし、彼には彼のスタイルがある。素晴らしいと思ったよ」と語っていた。豪腕投手の速球をはじき返すイチロー。そんな図が、ふと頭のなかに浮かんだ。
text :増田勇一/photo:MASA |