| 梅雨だというのに雨知らずの『TOUR PARADE』は、大阪でも好天に恵まれた。6月30日、Zepp Osaka。第4の夜にここでBUCK-TICKを迎え撃つのはBALZAC。
BUCK-TICKの20周年にはもちろん及ばないものの、実は彼らも今年、結成15周年を迎える。そんな記念すべき年に長年敬愛し続けてきたバンドと同じステージに立つとあって、メンバーたちはあらかじめ緊張気味だ。が、いざステージに立てば攻撃モード突入のスイッチが当然のごとくONになる。空白の時間を設けることなく速射砲のごとく攻撃的チューンを連発する彼らのライヴ・パフォーマンスの熱は、時間の経過とともに場内に広く伝染し、BUCK-TICKのオーディエンスからも暖かい拍手と歓声を集めることになった。
そのステージの中盤で披露されたスペシャル・チューンは、言うまでもなく「MOON LIGHT」。彼らによれば、4人のメンバー全員が、それぞれBALZAC結成以前に組んでいたバンド時代にこの曲をコピーした経験があるのだという。結果、彼らは、自身の持ち時間にぎっしりと自分たちの持ち味を詰め込み、嵐のように全14曲を披露してステージから去っていった。
そんな嵐の余韻が、BUCK-TICKにもある種のプラス作用をもたらしたのかもしれない。午後7時7分、大きな歓声が渦巻くなかに登場した5人のテンションが、なんだかいつもと違っている気がした。もちろん、同じ夜などひとつもないのだから毎回そうした違いが感じられるのは当然のことなのだが、櫻井敦司が発した第一声を耳にした瞬間、僕はこの夜のライヴが素晴らしいものになることを直感し、確信した。そしてそれが間違っていなかったことも、それから約1時間半後に証明されることになった。
前回の原稿でも同じようなことを書いたが、とにかくツアーそのものが加速度をつけながら転がっている。これから『TOUR PARADE』を目撃することになる人たちのためにも、例によってここでは具体的な演奏曲目について触れることはせずにおく。が、いわゆる今回のツアーの基本形セットリストというべきものが、最新型の黄金律と形容するに相応しいほどに消化され、研ぎ澄まされつつある。このバンドの歴史を彩ってきた楽曲たちについてはもちろんだが、9月12日に発売の決まった待望のニュー・アルバム、『天使のリボルバー』に収録予定で、今回のツアーで先行披露されている「スパイダー」と「モンタージュ」もまた、もはやその機能美を成立させるうえで欠かせない要素になりつつある。しかも毎回、その夜なりの温度や匂いといったものが違う。だから仮に毎晩同じ内容のステージが繰り返されるようなことがあったとしても、僕は飽きることがないだろう。
が、もちろんサプライズ要素は大歓迎である。この夜はそれが、アンコールのなかに用意されていた。
「今夜は特別に、一緒に1曲……」
そんな呼びかけに導かれてステージに現れたのはBALZACのフロントマン、HIROSUKE。今宵かぎりの突発的デュエットで披露された「スピード」で、すでに極上の一体感に包まれていた場内はさらに熱気を高めることになった。そして『TOUR PARADE』は折り返し地点を超え、後半へと突入していくことになった。
最後にステージ上の櫻井からの伝言を。
「9月にまた大きなパレードをやるので、皆さん、よかったら来てくださいね」
言われるまでもなく、かならず行く。場内を埋め尽くしていたずべての観客が、そう感じていたに違いない。
text :増田勇一/photo:MASA |